勇武館が出来るまで

1.流祖 近藤内蔵之介 「一誠を以って天地の公道を極めよ」

 天然理心流は、江戸時代後期の剣客 近藤内蔵之助が1790年頃に創始したと言われています。彼は遠江国出身であり、鹿島新當流を学んできました。彼は江戸に道場を構え、また近隣の農村へ出向き指導したため、門下生の数は大変多くなったといいます。初代宗家 近藤内蔵助が弟子に諭した言葉に、「一誠を以って天地の公道を極めよ」というのがあります。天然理心流は武術を習得することはさることながら、ひとつの誠を修めなさい、というような意味です。

2.二代目宗家 近藤三助・三代目宗家 近藤周助

 彼らが語った言葉に、「忠君愛国の志を持ちなさい」、「社会公共 国利民福を企て、それを実行するために理心流を使いなさい。理心流を極めた者は三軍を率いることができる人材になれる。天下を治平に導きなさい」と言うのがあります。後の新選組の「誠」の考え方の源流をここに垣間見ることができます。

3.四代目宗家 近藤勇 ~新選組局長~

 三代宗家 近藤周助を支えたのは、多摩の豪農 宮川家でした。その宮川家の三男 勝五郎に「剣の才能」を見出した周助は養子とし、天然理心流の四代目宗家として鍛え上げました。名を近藤勇と改めたこの四代目宗家こそが、後の新選組局長です。

4.五代目以降の天然理心流

 勇の甥である勇五郎が近藤家に養子に入り、勇の娘 たまと結婚することで、五代目宗家を継ぎました。そこから今日の九代目まで技が継承されています。

5.九代目宗家 宮川清藏勇武

 八代目宗家 加藤伊助が、天然理心流を宮川家に返そうと考えたため、新選組局長 近藤勇の生家子孫にあたる宮川清藏へと受け継がれました。2010年に、「勇武館」を発足し、天然理心流の稽古を行っています。また、NHK大河ドラマ「新選組!」にも出演し、近藤勇、土方歳三、沖田総司らが修めた天然理心流についての解説を行いました。